MIDIキーボード選びで失敗しない比べ方|鍵盤数から到着後の設定まで

A professional audio engineer working at a digital music production setup in a home studio. Uncategorized
Photo by Techivation on Pexels

DTMを始めようと思って検索すると、まず出てくるのが「MIDIキーボード」という機材です。鍵盤の数も、値段も、見た目もバラバラで、どれを選べばいいのか最初の一台で迷う人がとても多いんですね。実際に使うところをイメージしながら、はじめの検討段階から手元に届いたあとまで、順番に比べていきます。

まず「何に使うか」で候補が絞れる

結論から言うと、鍵盤を弾く前に「打ち込みメインか、演奏もしたいか」を決めておくと選択がぐっと楽になります。ここを曖昧にしたまま鍵盤数や機能で選ぶと、届いてから「あれ、これじゃなかった」となりがちです。

理由は単純で、MIDIキーボードは用途によって欲しい機能がまったく違うからです。打ち込みが中心なら、コードを押さえられれば十分で、鍵盤の弾き心地はそこまで重視しなくてもよいことが多いです。一方でピアノやシンセを弾く感覚を大事にしたい人は、鍵盤のタッチや鍵盤数が満足度を左右します。パッドでビートを組みたい人は、鍵盤よりドラムパッドの有無のほうが重要になります。

たとえば、ボカロ曲を作りたくてDAWを触り始めた人が、とりあえず安いからと25鍵の小さいキーボードを買ったとします。メロディの打ち込みは問題なくできますが、コード進行を確認しながら弾こうとすると鍵盤が足りず、オクターブボタンを押しながらの作業になって手が止まりがちです。逆に、バンドでキーボードも弾きたい人が同じものを選んだら、明らかに物足りなく感じるはずです。

迷いやすいのは「両方やりたい」という場合です。この場合は無理に一台で完結させようとせず、まずは打ち込み用途を優先して小さめを選び、演奏欲が高まってきたら買い替える、という考え方もありです。最初から高機能なものを買って使いこなせないより、実は現実的な選び方だと思います。

鍵盤数と鍵盤の質、どちらを優先するか

鍵盤数は25鍵・49鍵・61鍵・88鍵あたりが主流で、迷ったら49鍵か61鍵を選んでおくとバランスが取れます。25鍵は省スペースですが、両手でコードを弾くには狭さを感じやすいです。

鍵盤の質は「シンセ鍵盤」「セミウェイト」「ハンマーアクション(ピアノタッチ)」の三段階でおおまかに分かれます。シンセ鍵盤は軽く跳ね返るタイプで、素早い打ち込みや演奏に向いています。セミウェイトはやや重みがあり、ピアノとシンセの中間くらいの感触です。ハンマーアクションは本物のピアノに近い重さで、鍵盤を押した後の沈み込みが深いのが特徴です。この違いは、実際に弾いてみないと体感しにくい部分でもあります。

場面を想像してみてください。ピアノ経験者が家でも同じ感覚で弾きたくてMIDIキーボードを選ぶとき、シンセ鍵盤のものを買うと「軽すぎて指がすべる」と感じることがあります。逆に、シンセサウンドを速いパッセージで弾きたい人が重いハンマーアクションを選ぶと、指が追いつかず弾きにくいと感じるかもしれません。鍵盤数61鍵・ハンマーアクションのモデルは本体サイズも大きく重くなりやすいので、置き場所の奥行きも事前に測っておいたほうが安心です。

ここは正直、好みが分かれるところです。楽器店で試奏できるなら、可能な限り触ってから決めるのがいちばん確実だと感じます。通販だけで決める場合は、同じメーカーの上位機種と下位機種で鍵盤の種類が違うことがあるので、商品説明の「鍵盤タイプ」の表記を必ず確認してください。

接続方式とソフトとの相性を確認する

接続方式はUSB接続が基本で、これを選んでおけばまず失敗しません。Bluetooth対応のモデルも増えていますが、レイテンシー(遅延)がわずかに発生することがあるため、シビアなタイミングで演奏したい人には不向きな場合があります。

USB接続なら、パソコンにつなぐだけで多くのDAW(作曲ソフト)に認識されます。しくみとしては、キーボードが弾いた情報を音の高さや強さのデータとして送り、パソコン側のソフト音源がそれを鳴らす、という役割分担になっています。だからMIDIキーボード自体には音を出す機能がなく、パソコンとソフトがあって初めて音が鳴ります。この点は初めて触る人が勘違いしやすいところです。

具体的には、深夜にヘッドホンをつけてノートパソコンに新しく買ったキーボードをつなぎ、DAWを開いて鍵盤を押したのに何も音が鳴らない、という場面がよくあります。原因の多くは、DAW側の入力デバイス設定でMIDIキーボードが選択されていないことです。設定画面から入力デバイスを選び直せば、たいていはすぐ解決します。

例外として、iPadやスマホで作曲アプリを使いたい人は、USB-C対応かどうか、変換アダプタが必要かどうかを事前に確認しておく必要があります。パソコンとタブレットの両方で使い回したい場合は、対応OSの表記を見落とさないようにしてください。ここを確認せずに注文すると、届いてからケーブルを買い足す羽目になります。

注文前に価格以外で見ておきたいこと

価格だけで比べると失敗しやすいので、付属ソフトの有無と保証期間もあわせてチェックするのがおすすめです。似た価格帯でも、DAWソフトや音源が付属しているかどうかで実質的なお得感がまったく変わってきます。

しくみとしては、MIDIキーボード単体では音を作れないため、多くのメーカーが自社製のDAWや音源をバンドルして販売しています。初めての一台であれば、この付属ソフトだけで作曲を始められることも多く、別途ソフトを買う予算を抑えられます。一方で、すでに使っているDAWがある人にとっては、付属ソフトの価値はほとんどありません。その場合は、鍵盤の質や機能面にもう少し予算を回したほうが満足度は上がります。

たとえば、予算を2万円前後に決めて通販サイトを比較しているとします。同じくらいの価格でも、片方は付属音源が豊富でパッドやフェーダーが付いており、もう片方は鍵盤のタッチ感に定評があってシンプルな構成、ということがよくあります。何を優先したいかで選ぶべき製品が変わってくるわけです。値段のラベルだけを見て決めると、あとで「思っていたのと違った」となりやすい部分です。

迷いやすいのは、レビューの評価に引っ張られすぎることです。レビューは投稿者の用途に強く左右されるので、星の数だけでなく「どんな使い方をしている人の感想か」まで読んでから判断すると、自分の用途とのズレに気づきやすくなります。保証期間についても、家電量販店経由かメーカー直販かで対応が変わることがあるので、購入前に販売元を確認しておくと安心です。

届いてからつまずきやすいポイント

箱を開けてすぐ音が出せるとは限りません。ドライバーのインストールや電源の確保など、意外と準備が必要な場合があります。ここを知らずに設置すると「壊れているのかな」と不安になりがちです。

多くのMIDIキーボードはUSBバスパワー、つまりUSBケーブル一本で電源も供給される仕組みになっています。パソコンのUSBポートが不足していると、ハブを経由した際に電力不足でキーボードが正しく動作しないことがあります。また、機種によっては専用ドライバーのインストールが必要で、パソコン側の設定より先にドライバーを入れておかないと認識しないケースもあります。説明書やメーカーサイトの手順を先に確認しておくと、当日の作業がスムーズです。

具体的な場面を挙げると、届いたその日の夜に早速つないでDAWを立ち上げたものの、鍵盤を押しても音が出ず、結局その日は諦めて寝てしまった、という話は珍しくありません。翌日調べてみたら、DAWの音源トラックを新規で作成していなかっただけだった、というオチもよくあります。MIDIキーボードは正しく認識されていても、受け取る側のトラック設定がなければ音は鳴らないので、機材のせいだと決めつける前に、ソフト側の設定を一通り見直す価値はあります。

例外として、中古品やアウトレット品を購入した場合は、ドライバーのバージョンが古く、最新のOSに対応していないことがあります。この場合はメーカーサイトから最新版をダウンロードし直す必要があるので、購入時に対応OSのページも合わせて確認しておくと二度手間になりません。設置場所についても、鍵盤の重さや奥行きを測らずに購入すると、机に置いたらモニターの位置と干渉した、という笑えない話もあります。届く前に、置く場所の寸法だけは測っておいたほうがいいです。

タイトルとURLをコピーしました